佐藤秀明(さとうひであき)
宮城県
日本LD学会
特別支援教育士スーパーバイザー
日本教育カウンセラー協会上級教育カウンセラー
NPO法人自閉症ピアリンクセンター「ここねっと」理事長
みやぎ子どもサポート研究所所長


2011. 3. 11 M9…宮城では5年以内に99%の確立で起きうる地震でした。宮城県民は、この大地震を想定し、防災訓練・避難訓練等に取り組んできました。さらに、こどもたちの防災教育についても、教育委員会や各学校が学区地域の連携のもとそれぞれに取り組んできた経緯があります。しかし地震の規模は予想されたものの、その後沿岸を襲った津波は想定を遙かに超え、甚大な被害とかつてないダメージを我々にもたらし、未曾有の犠牲者を出してしまいました…
まもなく大震災から1年が経とうとしています。花は薫り…海は穏やかに月を映し…そこには優しく風が頬をなでる…まるで何事もなかったように…そして3月がやってきます…

03月 地震津波被災地のこども支援開始
04月 フリーリー支援物資有効活用展開
05月 PTSD理解と予防セミナー七ヶ浜
06月 メンタルケアプログラム石巻大川
07月 フリーリーセミナー震災支援報告
08月 沖縄県文化交流スタディ事業受入
09月 みやぎ少年未来塾秋保宿泊セミナ
10月 日本外来小児科学会での支援報告
11月 雄勝地区中学3年生学習支援開始
12月 冬休雄勝仮設住宅中学生学習支援
01月 保育心理士京都研究震災支援報告
02月 富山大学地域連携推進機構講演会
03月 被災地支援報告会宮城県青年会館


2012。2。14フリーリーからスペシャルチョコレートが届きました…そこには1年の振り返りとこれからの思いが綴られていました…
「できることをできる限り…」フリーリーの言葉です。毎日被災地に向かう車の中で唱えます。少し緊張が和らぎます…「できることをできる限り…あせらずあわてずあきらめず…」そっと自分のことばをつけ加えて唱えると車の中にさわやかなカボスの香りが吹き込んできます…
フリーリーの夏期研修会には第1回から参加させていただいています。もしかするとフリーリー夏期研修会皆勤は私一人かもしれません…少し誇らしげな気持ちになります。

ということは…フリーリーの何かがしみこんでいるのです…得体の知れない何かが…

あたり前ですが,私には私の生き方があります.そして今回の大震災…私の生き方が大きく揺らぎ始めました.「自然の脅威にさらされ,人の命を一瞬にして奪っていく地獄のような光景を目の当たりにして…被災者の私が私よりも遙かに大きなダメージを受けたこどもたちとその家族の支援活動にあたる…」
何のために生きるのか…何のためにたべるのか…何のために…無我夢中とはこういうことか…と実感する一年でした.

支援活動を終えると,私は帰りの車の中でひとり振り返りをします…
ため息は決してつきません.今日の自分のがんばりをよさの観点で振り返り…できることをできる限りがんばれた自分に「いいね,よくやったね…」と伝えます.



そこには車中でにやける私がいます…そして“ふふっ”と鼻で意識して笑います…
どうやらフリーリーでしみついていたのはこのことらしいと最近気づきました.そしたらいつの間にか私のなかのこころの揺らぎは治まっていました.



できることをできる限り・・・
できることをする…ただできることをする…それだけ.それ以上でもなければそれ以下でもない.私にできること…私ならできることをする…それだけ.
昨年さくらの花はがれきの中に咲きました.



フリーリーは今年はどんな花を咲かせるのかとても楽しみです…
佐藤 秀明